顔を天(ソラ)に向けて唇を噛みしめて泣く少女。小雨が降り注いでうっすらと霞がかっている、ように見える。
「おい、」
「なにさ」
「いつまでそうしているつもりだ」
「さぁ?いつまでかねぇ」
ふざけるなと、男は怒鳴る。すでに女が雨の中に出て一時間が経過している。そろそろ危険域に到達する。
「死ぬ気か?」
「まさか。……だけどそれも良いかもしれないと、今の私は思ってもいるよ」
あはは、と空笑いをあげる。否定、されてしまった。今まで信じてきた人に、捨てられてしまった。もう行く場所などない。このまま死ぬのも良いかも、なんて本気で思ってしまう。
強い酸性雨は人を侵す。
既に19世紀末には常識となっていたこと。
この星は止まってしまった。後は枯れるだけ。死ぬだけ。
星は受け入れてしまった。けれど人は拒絶する。みっともなく、足掻く。足掻いた結果が二つ。
出るか、籠もるか。
宇宙へ出て、新たに居住を見つける。もしくは不酸化処理を施した建物を一カ所にまとめて作り、その上から更に膜を張る。電気的な膜だ。効果はバリアーに似ている。電子的な膜を張り、降る雨を分解させる。そうやって50年、このコミュニティーは生きてきた。
けれど、もう、終わりだ。
「お前は、此処で、死ぬのか?」
「存在意義をなくした私にどう生きろと?」
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仮想世界。
突発文、なので続きはなし。だれかネタください。